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2013年4月 3日 (水)

趣味の酒つくり

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「趣味の酒つくり ドブロクをつくろう実際編」です。

義父に借りた書籍でしたが、非常に主張の強い内容でした。

主張・思いの詰まった事は、やはり心を揺すぶるモノがありますね。

 

説明するまでも無く、日本では「酒税法」という法律により、1%以上のアルコールを含む酒類の製造は禁止されている。

だが、他国においては、酒造りを全面的に禁止している法律は無いのだそうだ。

海外ではホビーとして酒を作り、客人へと振る舞う家庭も多いという。

日本において、そういった事が全面的に禁止される法律ができたのには、歴史が深くかかわっていると説明する。

明治時代以前、ドブロクと呼ばれる日本酒の元は、広く一般家庭でも醸造されていたそうだ。

もちろん凶作の際に酒造制限令が発令されたり、ドブロクを作る為の米が無かったりする事はあったが、原則ドブロクの自家酒造は自由であった。

しかし明治に入り、酒造家のみに酒税を課しても、一般家庭におけるドブロク作りを野放しにする事で、税収が上がらない事に政府が気付き、酒税率を上げるとともに、ドブロクにも規制がかけられる様になった。

その後、日清戦争後の財政不足を解消する一環として、自家用のドブロク製造を制限し、税金も大幅にアップさせる。

しかし、当時109万戸を数えたという自家酒造免許を持つ農家から税金を取ったり、規制をする事は不可能に近く、明治32年より自家酒造は全面禁止となる。

日清戦争が終わり、日露戦争に向けて戦力を蓄えていた当時、税収全体に占める酒税の割合は33%だった事からも、その税収の重さを感じられるだろう。

 

現在の酒税法は昭和15年に制定され、現在もその効力を継続している。

1981年には「ドブロクをつくろう」という著書を発売した前田俊彦さんが1984年に起訴、1989年に最高裁で有罪判決が下っている。

これには税収上の問題であるとして、本書の著者を含め、異を唱える人も多く、「所得税と同様に申告制にすべき」との案も根強い。

著者は更に、日本国憲法13条

「すべて国民は個人として尊重される。生命・自由・および幸福追求に対する国民の権利については公共の福祉に反しない限り、立法その他国政の上で最大の尊重を必要とする」

を引用し、酒税法は違憲ではないか?とまで主張している。

商品としての酒を無許可・無差別に作り、税も払わずに流通する事も無いのに、何故罪にされるのか?という訳だ。

趣味としての酒造りを認める事で、全国の酒屋に「自家醸造の指南役」という新しいビジネスが広がる事まで提案するほどである。

 

人は酒を作るサルである。

太古の昔より、世界中で、様々な酒が発展してきた事が、その証拠であろう。

急速にグローバル化する社会において、酒税法の様な歴史を持つ法律が、本当に必要なのであろうか?

この法律が守っているのは、税収以外に何があるのだろうか?

と、思案させてくれる一冊であった。

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